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北海道大学 情報科学研究科 メディアダイナミクス研究室 Laboratory of Media Dynamics

地域・河川管理等に関する取り組み

河川管理を支援するCCTV映像自動解析技術に関する研究

河川管理区域の利用頻度が高い河川においては、利用者による違法行為・危険行為等が頻発しており、これらを早期に発見するとともに、予防策を講じることが必要とされています。この対策として、市民参加型の取り組みによる情報収集の枠組みに加え、CCTV映像の自動解析による支援が望まれています。本研究では、河川管理区域のCCTV映像を用いた利用者の異常行為検出・予測技術の構築を目指しています。具体的に、近年成長著しい機械学習、特に深層学習を用いることで、高い実現性の下、利用者が「どこで」、「なにを」を行っているかを自動で認識し、さらに、それらの異常行為を事前に予測可能とする技術の実現を試みるものです。

平成29年度は、その第一フェーズとして、河川管理区域における利用者の自動検出・追跡技術の構築を行いました。具体的に、低解像度・低画質のCCTV映像に対して、背景差分法と深層学習を協調的に適用することで、変化し続ける環境下においても頑健な利用者検出・追跡を可能にする新たな技術を実現しています。

平成30年度には,検出・追跡された利用者が「どこで」、「なにを」行っているかを自動で分類可能とする技術を構築しました。具体的に、CCTV映像中の座標によって、高水敷、堤防、水際、水面といった利用者の位置を完全に特定可能としました。さらに,CCTV映像の撮像方向を考慮して利用者の位置と移動の速さを算出することで、国土交通省『河川空間利用実態調査』で定義されている「散策」、「スポーツ」、「釣り」、「水遊び」の行動に分類可能とする識別器を構築しました。本技術を実際のCCTV映像に適用した結果、92%の正解率を達成ました。さらに、利用者の行動の中から、危険行為等の異常行為を自動で検出可能とする技術を構築しました。

令和元年度では、平成29年度および平成30年度における研究成果を応用し、河川利用者に対する統計情報の取得を可能とする手法を構築しました。具体的には、河川利用者の速さや位置に基づき、行動に関する特徴の定量化を行いました。さらに、異常検知手法であるDeep Automated Gaussian Mixture Modelを改良し、河川利用者の異常行為を予測可能とする手法を構築し、平成30年度の精度を上回る精度を達成した。

 

本研究により実現された技術は、様々な河川砂防行政への応用が期待できます。具体的に、河川管理区域利用者の行動分類技術の活用により、利用者に関する統計情報の取得が可能になります。これにより、集計されたデータに基づいて利用者数等の情報発信を地域の住民に対して行うことが可能になるだけでなく、河川管理区域を利用したイベントの策案等において、その活用が期待できます。また、石狩川水系豊平川河川整備計画においては、豊平川の整備、管理を着実に実施する方策として、情報技術の活用が挙げられています。本研究で実現された異常行為の検出手法は、河川管理区域において防ぐべき危険行為等の逸脱行為を発見可能とします。したがって、人手で監視することが必要であった対応の自動化に関して既存の設備により実現することが可能になることが期待できます。

研究成果

[1] 川本 舜,原川 良介,小川 貴弘,長谷山 美紀, “河川CCTV映像を用いた利用者の行動分類に関する初期検討,” 平成30年度電気・情報関係学会北海道支部連合大会, pp. 24-25, 2018.

[2] 川本 舜,原川 良介,小川 貴弘,長谷山 美紀, “CCTV映像を用いた河川利用者の行動分類に関する検討,” 映像情報メディア学会技術報告, vol. 43, no. 5, pp. 365-369, 2019.

[3] 川本 舜,原川 良介,小川 貴弘,長谷山 美紀, “CCTV映像を用いた河川利用者の異常検出に関する検討,” 映像情報メディア学会技術報告, vol. 43, no. 5, pp. 371-374, 2019.

[4] 渡邊はるな,藤後廉,小川貴弘,長谷山美紀, “弱異常検知アルゴリズムに基づくCCTV映像を用いた河川利用者の異常行動の検出に関する検討,” 映像情報メディア学会技術報告, vol. 44, no. 6, pp. 367–370, 2020.

※ 本研究は、国土交通省、平成29年度 河川砂防技術研究開発公募 地域課題分野(河川)、「河川管理を支援するCCTV映像自動解析技術に関する研究」により実施されたものです。

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