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北海道大学 情報科学研究科 メディアダイナミクス研究室 Laboratory of Media Dynamics

医学部連携

医学と情報学が連携し、胃がんリスク診断をより正確に


1994年、WHOが「ピロリ菌は明確な発がん要因である」という声明を発表しました。日本でもその認識が浸透し、除菌による胃がん予防に注目が集まり、各自治体や病院などでピロリ菌の感染調査が行われるようになりました。こうした胃がんリスク診断には簡易な血液検査だけでなく、胃のX線画像診断や内視鏡画像診断など、複数の検査を行うことが診断の正確性を高めるうえで重要です。しかし、それには医師の労力やコストの増加を伴うことから、自動で画像解析を行うコンピュータ支援診断システムの実現が求められています。

メディアダイナミクス研究室は、画像や映像、音声信号やセンサーデータなど多様な媒体から得られる異なる種類のデータを総合的に処理し、データに潜む知識の獲得を可能とする「マルチモーダル信号処理論」の研究を進めてきました。また、異なる数種類のデータが互いにどのような関連性をもつかを明らかにする「相関分析理論」の研究でも大きな成果を上げています。メディアダイナミクス研究室ではこれらの研究をふまえ、胃がんリスク診断におけるコンピュータ支援診断システムの研究開発に着手しました。

これまでの診断では、胃のX線画像と内視鏡画像のそれぞれが個別に研究されていたため、統合的に高精度な診断ができなかったことが大きな課題でした。そこで、本研究では「マルチモーダル信号処理論」によりX線画像や内視鏡画像など複数の観測データの分析結果を統合的に利用し、診断精度を高めることを目指しています。また、「相関分析理論」に基づいて医師の診断履歴と観測データの関連性を求め、それを可視化して提示し、医師に新たな知見を与えることを目指しています。

本研究は、胃がんリスクのメカニズムを与える情報を抽出し、これを「医学」と「情報学」という異なる研究分野が連携して解明することが基盤となっています。異分野が互いに理解可能な情報を求めることで、新たな価値が創出され、それぞれの分野でさらなる技術の向上が可能となります。また、胃がんリスク診断のみならず、さまざまな分野において新たな学問創造のきっかけとなることが期待されています。

 

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