Web・SNS解析
Eコマースサービスを対象としたクロスドメイン推薦
近年、Amazonや楽天市場などのEコマースサービスにおいて、「あなたへのおすすめ」といった形で商品推薦が行われています.ユーザに対して商品を推薦することで,ユーザが膨大な商品の中から所望の商品を探す負担を軽減することが出来ます.現在の推薦システムに関する研究では,ユーザおよび商品をノード,購入履歴や商品に対する評価をエッジとしたグラフを構築し,グラフ解析手法を適用することで商品推薦を行っています.しかしながら,これらの研究では,購入履歴や評価が少ない(エッジが少ない)新規ユーザや新規商品に対して,グラフ解析を用いた推薦の精度が低下する コールドスタート 問題が存在します.そこで,メディアダイナミクス研究室では,購入履歴や評価が豊富に存在するユーザや商品から抽出された知識を新規ユーザや新規商品に対して適用することで,コールドスタート問題を解決可能なクロスドメイン推薦手法を研究しています.
SNSを利用したスポーツ放送映像からのハイライト映像生成
ハイライト映像生成とは,スポーツやテレビ番組などの映像から盛り上がったシーンや特に目立つシーンを抽出する映像要約技術の一つです.視聴者は生成されたハイライト映像を視聴することで,映像の重要シーンのみを効率的に確認することが可能となります.重要シーンは他のシーンとは異なる視覚的または聴覚的な特徴を有するため,従来の研究では,映像から得られる情報を利用することでハイライト映像を生成していました.しかしながら,スポーツ映像のように,重要シーンの判定に専門的な知識が必要となる映像からハイライト映像を生成するためには,映像から得られる情報のみでは不十分です.一方で,SNSに投稿されたテキストには,専門的な知識を有する視聴者が投稿した情報が含まれています.そこで,メディアダイナミクス研究室では,映像から得られる情報に加えて,SNSから取得したテキスト情報を活用した異種メディア横断型のハイライト映像生成手法に関する研究を行っています.具体的には,視聴者がTwitterに投稿したテキスト群から対象のスポーツ映像に関する情報を抽出し,解析を行うことで,視聴者がより望むシーンの抽出を実現しています.
楽曲配信サービスを対象とした強化学習に基づく楽曲推薦
SpotifyやYouTube Music等の楽曲配信サービスの普及により,インターネット上には膨大な量の楽曲が存在しています.これらの楽曲の中からユーザが好みの楽曲を発見する支援を行うために,ユーザの嗜好に応じた楽曲推薦システムが様々なサービスで導入されています.しかしながら,従来の楽曲推薦システムでは推薦結果に至った経緯が不明瞭であり,ユーザは推薦された楽曲と自分の好みとの関係を理解することが出来ません.そこで,メディアダイナミクス研究室では,推薦結果を説明可能な楽曲推薦技術を研究しています.具体的に,楽曲とユーザをノードとしたグラフを構築し,ユーザの嗜好を考慮した強化学習に基づき網羅的なグラフ探索を行います.探索により発見した楽曲をグラフ上の経路とともにユーザに提示することで,推薦結果を説明可能な楽曲推薦を実現しています.